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借りて耕(たがや)している畑で、今年初めてのキュウリがとれた。緑を濃くした葉の間から、よく育ったのが5本ほどぶら下がっていた。毎年、初もののキュウリを味わうたびに、太宰治(だざいおさむ)を思い起こす▼〈キウリの青さから、夏が来る。五月のキウリの青みには、胸がカラッポになるような、うずくような、くすぐったいような悲しさがある〉。小説「女生徒」(じょせいと)の一節だ。なぜか心に刻まれる、不思議な文章の魔術が、衰えぬ人気の理由の一つだろう▼その太宰の、きょうは生誕100年の桜桃忌である。玉川上水(たまがわじょうすい)に入水(じゅすい)して、遺体が見つかったのが奇(く)しくも39歳の誕生日だった。東京・三鷹(みたか)禅林(ぜんりん)寺の墓前には、毎年ファンの列ができる。記念の今年、列は長くなるでしょうと、お寺の人が予想する▼100年の話題はにぎやかだ。関連する本の出版や、作品の映画化が相次いでいる。東京などで「太宰治検定」も開かれる。故郷の青森県議会はきょうを休会にするそうだ。あれこれと、いまや時代を超えた国民的作家として揺るぎない▼人としての弱さと、それを隠さない強さが小説を作り上げているという。「こんなに自分のことばかり書いて――この人は自分で自分を啄(ついば)んでいるようだ」と、妻の津島美知子は書き残した。弱いだけの者に自らを啄むことはできまい▼〈蔓(つる)を糸でつないで、首にかけると、桜桃は珊瑚(さんご)の首飾りのように見えるだろう〉。忌日の名になった短編「桜桃」の、これも印象深い一節だ。弱さを刻んだ作品に、人は自分の横顔を、ふと見るのかも知れない。  http://www.asahi.com/paper/column.html

単語

ぶら下がる(ぶらさがる)0④

上端を支えにして垂れ下がる。

カラッポ

空っぽ。中に何も入っていない。そこに誰もいない。

うずく②

ずきずきと痛む。後悔や悲しみで心が痛いように感じる。

くすぐったい ⑤0

くすぐられるなど、刺激を受けてむずむずする。きまりが悪い。

桜桃忌(おうとうき)③

太宰治の忌日(きにち)。遺体の発見された6月19日を忌日とし、東京都三鷹の禅林寺で修せられる。作品の題名をとって命名された

奇しくも(くしくも)

起こった事態の偶然性を不思議に思う。

揺るぎない(ゆるぎない)④

揺らぐことがない。不動である。

啄ばむ(ついばむ)③

鳥がくちばしでものをつついて食べる。

 

人としての弱さと、それを隠さない強さが小説を作り上げているという。「こんなに自分のことばかり書いて――この人は自分で自分を啄んでいるようだ」と、妻の津島美知子は書き残した。弱いだけの者に自らを啄むことはできまい

身為人的弱小、以不將其隱藏的強勁寫小說。『像這樣寫了很多自己的事──就像是啄食自己一般』妻子津島美知子如此寫下來。單單的弱者是不會啄食自己的    ---不負責翻譯麥子

翻得很差但原文寫得真好!

今天是太宰治的忌日100年,太宰治的忌日取名為「櫻桃忌」取名來自其一篇作品,只能說一句很不詩意的話,這真是太酷了~!今日の天声人語を見てよかった。心も富むなった。

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