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夏は音楽ざんまいだったセミが冬に飢(う)え、せっせと食料を蓄えてきたアリに助けを求める。イソップ寓話(ぐうわ)の「アリとセミ」だ。セミは夏に鳴く虫の代表としてサボリ役を務めるが、セミが少ない北国ではキリギリスが代役を引き受け、そちらも広まった▼この話、本により結末も違う。ギリシャ語の原典ではアリが冷たく拒むのに、説教しながら施しを与える「温情編」もある。改変前の教訓は、自助努力を怠るな、余裕のあるうちに備えよというものだ▼冬への備えを促すように、世界保健機関が新型インフルエンザの警戒レベルを最高の6に引き上げた。世界的大流行である。冬に向かう南半球で感染が広がっているためだ。100万人が死亡した「香港風邪」以来、大流行は41年ぶりとなる▼日本では感染者の多くが軽症で治り、一時の騒ぎも落ち着いた。慌て買いのマスクを持て余す人もいよう。だが、ウイルスは人体を渡り歩くうちに凶暴化しかねない。われらが北半球では、南でひと暴れした後の第2波が怖い▼年内に日本が用意できる新型ワクチンは、国民の2割にあたる2500万人分という。秋から冬、流行と予防接種がもつれて走るような状況が見込まれる。どんな優先順位で打つのか、大量の患者をどうさばくのか。考えておくべきことは多い▼「夏に歌ったのなら、冬には踊るがいい」。無慈悲なイソップ原典で、腹ぺこのセミにアリが放つ言葉だ。このせりふ、温情を知らないウイルスに盗まれないよう、セミが鳴きやむ前にあれこれの冬支度を整えたい。   http://www.asahi.com/paper/column.html

単語

三昧(ざんまい)

[接尾]《「ざんまい」の形で多く用いられる》名詞または形容動詞の語幹に付く。

ともすればその傾向になるという意を表す。「刃物―に及ぶ」

そのことに熱中するという意を表す。「読書―の暮らし」

心のままにするという意を表す。「ぜいたく―な生活」

飢え(うえ)

飢えること。

せっせと

[副詞]休まずに一生懸命に事を行うさま。「-と立ち働く」

サボリ

サボリーマン:就業時間内に仕事や職場から逃避し、喫茶店やパチンコ店などで時間を過ごす会社員。

キリギリス ③

昆虫。中国語は螽斯 であります。

拒む(こばむ) ②

要求、依頼、働きかけなどを断る。拒否する。

施し(ほどこし) 

恵み与えること。

施す(ほどこす) ③0

金銭、物品や恩恵などを恵み与える。

自助努力(じじょどりょく) ③

他に依存せず、自分の力で困難を乗り越える努力。

怠る(おこたる)0③

しなければならないことを、怠け心や不注意によりしないままでいる。怠ける。さぼる。

促す(うながす)0③

1.早くするようせきたてる。催促する。 (急き立てる:早くするようにと促す)

2.相手がそれをする気になるよう勧める。

3.進行を早める。

渡り歩く(わたりあるく)⑤

一か所に落ち着かないで、仕事などを求めてあちらこちら移り歩く。

凶暴化しかねない

ワクチン ①

感染症の予防のため各種伝染性疾患の病原菌から制した抗原の総称。

接種(せっしゅ)①0

微生物、ウイルス、ワクチンなどを生物体や培地に植えつけること。

もつれる ③

言語、動作が思い通りにできなくなる。

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